やまこの学校


天蚕(やまこ)糸は優美な光沢を持ち、軽くて柔らかく、また染料に染まりにくいため天然絹糸そのものの艶と美しさがあり、繊維業界からは「繊維の女王」、「繊維のダイヤモンド」と讃えられています。とりわけ有明地区で生産された天蚕糸は、京都の西陣をはじめ桐生・足利などの機業地に送られ、最高級品として珍重されてきました。しかし、戦時中に天蚕糸は贅沢品とされて、天蚕の飼育が途絶えてしまいました。一般農家で天蚕飼育が復活したのは漸く昭和48年のことです。
やまこの学校はこの天蚕飼育の伝統を守り伝えるために、5年前に有志によって始められました。はじめの3年間は県の「地域発 元気づくり支援金」の助成を受けましたが、昨年からは受講生の年会費とボランティアによって運営されています。
これまでは、やまこの学校の校長で天蚕農家でもある古田春江さんの飼育林を借りて実施してきましたが、今年度からは国営アルプスあづみの公園の協力を得て、公園の里山エリアにクヌギの苗を植えて、パイプハウスを組み立て防虫・防猿ネットを張って飼育林を造成することから始めています。文字通り一から天蚕飼育を学ぶ形になりました。
そして、やまこの種を取り付ける山付け作業、成長状況を見ながらの幼虫観察や切り返し作業、害虫駆除などを経て、7月中旬に繭の収穫を行いました。クヌギの木がまだ小さいのであまり多くのやまこを育てることはできませんでしたが、受講生の皆さんは、我が子を慈しむように緑色の美しい繭を一つ一つ丁寧にクヌギの木から取り外して収穫していました。